現実を見つめて
人は必ず亡くなります。嫌な話ですが、亡くなる前に認知症になる方も多いです。
以前、杉並区の税務相談員を何年か務めましたが、ほとんどは相続、相続税に関するトラブルでした。
厚生労働省の調査によると、65歳以上の高齢者のうち、認知症の人は推計15％で、2012年時点で約462万人に上っているとの事です。認知症になる可能性がある軽度認知障害（ＭＣＩ）の高齢者も約400万人いると推計されています。計算上は、65歳以上の４人に１人が認知症とその“予備軍”となります。現実には、介護保険を利用していない認知症の高齢者が多数存在しているわけです。
日本における成年後見は、法定後見が22万5千件、任意後見5万8千件にすぎず、ドイツの法定後見130万件、任意後見120万件に比較すると圧倒的に少ないのが現実です。
契約や権利行使ができない方は、権利侵害を受けやすくなります。第三者からの経済的搾取、詐欺、身体的虐待など。安心した日常を暮らすには、単に財産があるだけでは十分とは言えません。
